*あさえとちいさいいもうと
作:筒井 頼子
絵:林 明子
出版社:福音館書店
税込価格: ¥840
(本体価格:¥800)
発行日:1982年4月20日
年齢別おすすめ絵本
4〜5歳から
読んであげるなら3歳から
おかあさんがおつかいに出かけている間、
あさえは妹のおもりです。
妹を喜ばせようと、あさえは道路にどんどん絵を描いていきます。
一緒に遊んでいると思っていましたが…。
幼いお姉さんの緊張ととまどいを見事に描きあげた傑作です。
幼い姉妹の愛らしいイラストを描いているのは、林 明子さん。
ちょっとした表情や、動いているようにも見えてくるしぐさの表現が絶妙で、
思わず頬がほころんでしまうページで溢れた作品です。
お話の内容も、ぐいぐいと引き込まれてしまう、スピード感のある展開です。
読者までドキドキ不安にさせ、そして最後にホッと心が温まる、
長年読み継がれている、不朽の名作。
*おだんごぱん
作:ロシア民話
訳:瀬田 貞二
絵:脇田 和
出版社:福音館書店
税込価格: ¥1,155
(本体価格:¥1,100)
発行日: 1966年5月1日
年齢別おすすめ絵本
6〜7歳から
読んであげるなら 4歳から
おじいさんが、なにかおいしいものが食べたいとおばあさんに言います。
おばあさんは、粉箱をゴシゴシひっかいて、かき集めた小麦粉に
クリームとバターを混ぜて、おだんごパンを作ります。
焼きあがって、かまどから出されたおだんごパンは、窓辺でひやされます。
おだんごパンは、じいっとしていたらさびしくなってきて、
ついつい、転がりだしますが…。おだんごパンの行方は?
ヨーロッパの最も代表的な民話です。
リズミカルな言葉の繰り返しが面白く、場面展開のテンポの良さに
どんどんページをめくりたくなります。
淡い色彩の、なんとも物悲しげな絵と、とてもハッピーエンドとは言えないお話ですが、
どうしてだか、印象に残る絵本です。
私自身も幼稚園児の頃この絵本に出会っています。
読み終わった後の言葉にしがたい切なさや、
「巧みな話術にだまされたら大変なことになるんだ!」ということを
幼いながらに感じながら、ちょっと怖いとわかっていても引き込まれて、
何度もページをめくったのを覚えています。
*おふろだいすき
作:松岡 享子
絵:林 明子
出版社:福音館書店
税込価格: ¥1,260
(本体価格:¥1,200)
発行日:1982年4月30日
年齢別おすすめ絵本
5〜6歳から
読んであげるなら 3歳から
主人公のまこちゃんは、おふろがだいすき。
いつも一緒におふろにはいるのは、あひるのプッカです。
おふろで体をごしごししていると、プッカがぼくに、こう告げました。
「まこちゃん、おふろのそこに、おおきな亀がいますよ。」
おふろで繰り広げられる「ぼく」のファンタジー。
お風呂場が遊園地のように広く、動物園のような楽園になります。
林明子さんの、ふわりとした柔らかな絵が、
湯気にけむったおふろの風景を、より夢の世界の雰囲気にしています。
どんどんふくらむのびのびとした話は、
誰もが子どもの頃に思い描いたことのある自由な世界そのもの。
大人が読んでも、引き込まれてスルッと溶け込めそうな絵本でもあります。
終着点はお母さんが用意してくれたタオルの中。
ほっこり心が温まる作品です。
*かさ
作・絵:太田 大八
出版社:文研出版
税込価格: ¥1,155
(本体価格:¥1,100)
発行日:1975年2月20日
年齢別おすすめ絵本
5〜6歳から
読んであげるなら 3歳から
字のない絵本
雨雲で太陽の光がさえぎられてしまった灰色の雨の街を、
女の子が、真っ赤な傘をさして歩いています。
いろいろな場面に遭遇しながら、女の子が向かっているのは?
小さな女の子が、自分の身長程もありそうな大きな黒い傘を持ち、
何かに向かって、てくてくと歩いていく、文字のない絵本です。
白と黒のモノトーンの画面に、ポッとさく一輪の花のような赤い傘。
女の子のちょっと不安な心情が感じられます。
言葉が無い分、読み手に様々なことを想像させます。
小さい子ども達は、それぞれの思いで、それぞれのお話を作ることができる絵本
といえるのではないでしょうか?
最後のページが、とても印象に残る作品です。
*ぐるぐる えほん
作・絵:井上 洋介
出版社:フレーベル館
税込価格: ¥1,260
(本体価格:¥1,200)
発行日: 1981年3月
年齢別おすすめ絵本 3〜4歳から
読んであげるなら 1歳から
ぐるぐる まわる かんらんしゃ
ゆっくり まわる そらのなか
いろんな ぐるぐる いっぱい さがそう
床屋に縄跳び、扇風機、時計の針も回ってる。
もっとぐるぐる回る物、みんなで探しに出かけよう。
長く読み続けられてきたこの絵本は、2008年9月に新装版が出版されました。
ナンセンス絵本の大家が贈る快作。
さまざまな場面でぐるぐる回るものが登場します。
ページをめくってもめくっても、ぐるぐる回るものばかり。
目が回りそうになってくると、ページの雰囲気の季節が変化していること気付きます。
31ページにわたってぐるぐるしていると、自分の日常生活の中でも、
ぐるぐるを探したくなります。
いつもそこにあるものを、視点を変えて見ることができるようになる、
そんな絵本でもあります。
*ちいさいおうち
作・絵:バージニア・リー・バートン
訳:石井 桃子
出版社:岩波書店
税込価格: ¥672
(本体価格:¥640)
発行日:1981年3月17日
年齢別おすすめ絵本
4〜5歳から
読んであげるなら 3歳から
静かな田舎に、ちいさいおうちが建っていました。
まわりに工場ができ、にぎやかな町になるにつれて、
ちいさいおうちは、白いヒナギクの花の咲きみだれる、
田舎の景色をなつかしく思うのでした。
私自身、まだ字がよく読めない頃、
繰り返し繰り返しこの絵本のページをめくり、
だんだん元気がなくなっていくおうちを、切ない気持ちで見たのを覚えている、
とても印象深い作品。
小さい家を中心にした構図で全ページが描かれていて、
周囲がめまぐるしく変わっていくのがよくわかります。
初めの方のページは、鮮やかな色使いですが、
緑が伐採されるにつれ、色のくすんだページへと変化していきます。
都会では当たり前の光景ですが、
人の暮らしに本当に大切なものは何なのだろうかと考えさせられます。
最後の一文が、胸にしみます。
*とこちゃんはどこ
作:松岡 享子
絵:加古 里子
出版社:福音館書店
税込価格: ¥840
(本体価格:¥800)
発行日:1970年7月1日
年齢別おすすめ絵本
3〜4歳から
読んであげるなら 2歳から
とこちゃんは元気いっぱいの男の子。
おばあちゃんにもらったお気に入りの赤い帽子を、いつもかぶっています。
ちょっと目を離すとすぐに、とことこと駆け出してどこかへ…。さあ、とこちゃんはどこ?
1987年にイラストレーターのマーティン・ハンドフォードによってイギリスで出版された
『ウォーリーをさがせ!』という絵本が、同年に日本でも発売され有名になりました。
『とこちゃんはどこ』は、その17年も前に日本で生まれた絵本です。
ウォーリーはイギリス版とこちゃん、とでも言えましょうか。
昔懐かしいデパートや商店街やお祭りの風景の中に、とこちゃんを探しながら
昭和の良き時代が思い出され、大人が読んでも楽しめる絵本と言えます。
とこちゃんを探して見つけておしまいではなく、最後にお父さんとお母さんの
愛情があふれていて、心がほっこり温まります。
*わすれられないおくりもの
作・絵:スーザン・バーレイ
訳:小川 仁央
出版社:評論社
税込価格: ¥1,050
(本体価格:¥1,000)
発行日:1986年10月
年齢別おすすめ絵本
5〜6歳から
読んであげるなら 4歳から
かしこくて、いつも周囲のみんなに頼りにされている年老いたアナグマ。
そんなアナグマが死んでしまいます。
モグラは切り絵の作り方、カエルはスケート、キツネはネクタイの結び方・・・。
それぞれがアナグマから教えてもらったことを思い出しながら語り合います。
アナグマが残してくれた贈り物とは?
友人の死を通して、残された者たちが助け合いながら、
日々を生きていくことの大切さを語った秀作。
繊細なペン画に淡い水彩で着色されたイラストと、
たんたんと静かに流れていく文章が、
人間の前向きな生き方を語りかけます。
誰もがいつか必ず迎える「死」を受け入れ、
乗り越えるきっかけを静かに深く示してくれる不朽の名作。
大人も心を静めて、じっくり読み込みたい一冊です。